こんにちは。
なんとなくブログを始めた作業療法士の金平です。
本記事では、2019年6月29日に開催された「人間作業モデル(MOHO)事例検討会(旭川)」に参加した振り返りを述べていきます。
メインの内容は、“高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法”についてです。
事例検討会では、“高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法”を用いた事例検討と、その評価法のミニレクチャーがありました。
高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法とは?
高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法は、本家らによって開発された評価法です。
本家寿洋,山田孝,石井良和,小林法一:高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法の開発.作業行動研究17(1):1-9,2013
高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法は、面接形式で実施するものであり、18の質問に対して「とてもそう思う」「ややそう思う」「ややそう思わない」「とてもそう思わない」の4件法で答えるものです。
4件法による評定と面接から、クライエントが「過去・現在・未来に想いを広げる楽しさ」「人と関わる楽しさ」「考える楽しさ」「心や体が肯定的に変化する楽しさ」のどれを特に感じられているかが明らかになります。
また、これまでやってきた余暇活動の中で、楽しい活動について話し合うことに要点が置かれており、楽しさを深掘りするような面接が求められています。
この評価法は、実施するだけでも楽しくなる可能性があり、動機づけや幸福度の向上に繋がる可能性があると考えられています。
高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法を用いた実践者のお話
身体障害領域で働く先生が事例提供してくださいました。事例とディスカッション内容については、事例研究として投稿予定があるとのことでしたので、大幅に割愛させていただきます。
事例提供してくださった先生より、高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法を使って良かった点として“前向きな語りが得られたこと”が挙げられておりました。
事例は、高齢期になってこれまでに経験したことの無い障害を患いました。そのため、将来への不安が強く、面接では悲観的な内容が多かったようです。
「今は何もする気になれない」と語った事例への介入で役立ったのが高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法であり、意志の賦活に好影響を与えたようでした。
“楽しさ”を深掘りしたことで、生活を取り巻くエピソードについて、ネガティブからポジティブな解釈に捉えなおしが起きたのではないかと考えられました。
その結果、入院生活について語ることが増え、リハビリテーションプログラムへの積極性が増したようです。
“楽しさ”の評価が入院生活に好循環を生み出し、身体機能・認知機能・心理面にも改善を認め、退院に至ったようです。
高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法を使うメリットとポイント
事例検討の総評とミニレクチャーの要点を下記に示します。
- 高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法は、評価と同時に治療的要素がある
- 面接していくうちに、クライエントの“楽しさ”が深掘りされやる気が起きてくる可能性がある
- セラピストには、楽しさを引き出そうとする(知りたい!!といった)面接の態度・姿勢が求められる
筆者の私が感じたことを下記に示します。
- 面接時間の捻出が肝になるが、患者さんが良くなるのであれば効果絶大
- 楽しさ評価法のエッセンスを使うだけでもポジティブな臨床実践に繋がる
- 高齢者や作業療法に限らず、“楽しさ”の話題やその深掘りは宝の山
おわりに
本記事では、“高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法”に焦点を当てて「人間作業モデル(MOHO)事例検討会(旭川)」への参加を振り返りました。
“楽しさ”は人間にとってモノスゴイ動機につながるものと思います。自分の楽しさを分析してみるのも楽しいですし、誰かの“楽しい”をひたすらきいてみるのも楽しいものです。
ちなみに筆者の私は、楽しい活動の一つに“ポケモンカード”があります。。。笑
それは、「仲間と行えるから楽しい」「人と話をしながら行うのが楽しい」「新たな仲間ができるから楽しい」です。
他方、趣味の“ギター演奏”は、「体を使うことが楽しい」「すること自体が楽しい」「人に褒められる・喜ばれるなど人に認めてもらえると楽しい」「心が落ち着くから楽しい」です。
“楽しさ”の深掘り、とても楽しい!
“高齢者版・余暇活動の楽しさ評価法”にご興味を持たれた方は、ぜひ本家寿洋先生(北海道医療大学)をたずねてみてください。
では、また。