こんにちは、金平です。
本日は作業療法の就職先選びについて、一個人の考えを述べたいと思います。
大学時代の後輩が無事に実習を終え、ちょくちょくこういった質問を受けます。
「就職先ってどうやって選べばいいですか? 」
「身障か精神か、領域から迷ってます。」
などなどです。
でしたので本日は、“領域をどう選ぶか”について一意見を述べます。
作業療法の就職先といった大きな括りについては、徐々に拡がりをみせているように思います。学校で働く人、自動車学校で働く人、企業で働く人、起業する人、などなど。これらについては、筆者はお恥ずかしながら詳しくありませんので、ググってください。。。笑
一般的な就活生が考える就活、病院や施設就職での“領域選び”に焦点を当てて述べていきます。
結論から先に述べますと、“好きなところに行ってください”です(ミモフタモナイ)。
さらに付け加えるなら“自分が真摯に向き合える領域に行ってください”です。
就職先・領域選び
作業療法の領域は古典的な分け方をすると、「身体障害」「精神障害」「発達障害」「老年期障害」の4つに分類されることが多いです。
それら4つについて、“こんな人におすすめ!”と“この領域の大変なところかも!?”を述べていきます。
身体障害
こんな人におすすめ!
患者さんの病気を治したい。
“病気を治したい”といった力強い想いがある方は、身体障害領域が最適と考えます。
精神障害や高齢期障害、発達障害では、性格や生い立ち、発症によるその後の二次障害の影響が強い場合があり“根本的に治す”といったことが難しいケースが多いです(もちろん、身体障害領域も該当しますが)。
もちろん治療を諦めませんが、“治療で病気の悪いところを全部取っ払う”といった機械論的な介入には限界があります。“病気を治す”を尊重しつつも、“病気があってもより良い生活を送っていく”といった視点も大切です。
身体障害についても、上記の考えや人の性格・生い立ち等を重視しますが、いわゆる治療医学の探究は、身体障害が一番マッチしているように感じます。
特に、外科の領域では、機能的な回復を多くみられるのではないかと思います。
“作業療法の専門性を発揮しつつ、特に治療医学的な探究をしたい”といった方には身体障害がおすすめです。
この領域の大変なところかも!?
身体的な持病があるとツライ、腰痛になる可能性も。
筆者は、長期実習を身体障害領域で過ごしましたが、腰痛に悩まされました。普段は腰痛が無いのですが、患者さんの移乗であったり、身体への介入であったりをしている内に実習期間中は腰痛が生じていました。自分の体の使い方が悪かった可能性も大いにありますが、体を痛めるリスクは多かれ少なかれあるものと思います。
実際、“持病の腰痛のために身体障害領域は断念した”といった方にお会いしたこともあります。
作業療法らしい介入が難しいときもある。
“作業療法らしい”の定義が曖昧ですが、アイデンティティクライシスに陥る作業療法士が多い領域でもあると思います。
身体障害領域では、作業的な関わりよりも身体機能に直結したアプローチが最適な場合が多々あります。そのような場合に「作業療法士として関わっているのに、けっきょく身体機能ばかり。PT(理学療法士)との違いがわからなくなった」と悩む可能性があります。実際、筆者の知人にこのような訴えをする方がいます。
治療医学的な視点を持つ医療者として能力を発揮しやすい反面、作業療法士としての専門性に悩む場合もあります。専門性の発揮には“作業の勉強を継続してとことんする”、その上で日々の臨床と向き合っていくことが求められるといえます。
精神障害
こんな人におすすめ!
この国での生きづらさをなんとかしたい。
“この国での生きづらさをなんとかしたい”といった方には精神障害領域がおすすめです。
精神障害については、個人の健康と幸福を支援していくことも重要ですが、それ以上に社会の問題が多大にあります。
人それぞれは、自分の生きたいように生きればよいと思いますが、精神疾患を理由とした偏見や差別が未だに残っているのが現状です。それ以外にも、ストレス社会においては“精神をすり減らさず生活していくにはどうしたらいいか”といった検討が必要です。
筆者の私自身は「日本って生きづらいよなぁ(海外に行ったことはありませんが)。どうなれば良い社会になるんだろう」といった興味から精神領域を選択しています。
“心豊かに生活していく方法を考えていきたい”といった方には精神障害領域が最適かと思います。
この領域の大変なところかも!?
暴力や暴言を受けることがある。
患者さんによっては、幻覚妄想の影響から、暴力(大きなものから小さなものまで)や暴言が活発な方もいるのが実状です。
精神症状によるところが大きいですから、悪気があって暴力・暴言をしていない場合がほとんどです。しかしながら、医療者として働いていても、暴言を浴びるのはツライときがあり精神がすり減ることがあります。
人前で話すのが苦手な方は苦労するかも。
精神科作業療法は診療報酬の制度上、集団で実施されることが多いです。ですので、4~5名の小集団や20名程度の大集団の前に立って話す機会が多々あります。
声を張るのが苦手であったり、人前にたつことが苦手な方は、苦労する可能性アリです。実際、筆者の私も働き始めてから最初の半年程度は強い緊張がありました。
発達障害
こんな人におすすめ!
子どもが好き。
発達障害については、“子どもが好き”これが特に重要と思います(※大人の発達障害もありますので、“子どもが好き”だけで選択すべきではありませんが)。
“子どもが好き”といった想いは、“発達支援をなんとかしたい”といった強い動機に繋がることが多く、結果、よい臨床ができるように思います。
子どもとの遊びから発達を支援することや、ときに母性的・父性的な視点からの関わりが求められる領域です。
“子どもが好き”、“発達に興味がある”といった方は、発達障害領域が最適と思います。
この領域の大変なところかも!?
子どものテンションに合わせるのが苦手な方は向いていないかも。
発達を支援する領域ですので、遊び要素のある活動が多々行われます。そのため、作業療法士側が遊びにのめり込めないのであれば、向いていない可能性大です。
保護者との連携が必要。
やりがいの一つでもありますが、対象が子どもの場合は保護者との連携が特に求められます。子どもとその親(場合によっては学校の先生なども)の両方をクライエントとして、発達の問題をどのように克服していくか、問題意識を共有して関わっていく必要があります。
高齢期障害
こんな人におすすめ!
おじいちゃん、おばあちゃんが好き。
おじいちゃん、おばあちゃんが好きな方は高齢期障害が向いていると思います。高齢者に優しくできる利点が日々の臨床で遺憾なく発揮できます。
より良い老後を模索したい。
より良い老後を模索したい方にもおすすめです。高齢化が進む日本において、“老い”とどのように向き合っていくか、ここに興味がある方は高齢期障害領域が最適と思います。
数十年後を見据えた場合においても、高齢者の増加、認知症の増加は大きな課題として挙げられておりますので、ホットな領域であると思います。
この領域の大変なところかも!?
言語的コミュニケーションが難しい高齢者もいる。
認知症などの影響から、疎通をはかることが困難な方が多いのも高齢期障害の特徴と思います。高齢者がボディランゲージや言語的要素が欠落した発話で何かを訴えているけれども、医療者側がその訴えの内容を理解できない場合などは心苦しくなります。
日を追うごとに心身機能が低下していく。
高齢期は、特に“老い”を経験する時期であるため、心身機能の低下に逆らえないことが多くあります。だんだんとできていたことができなくなる高齢者に寄り添い続ける際、ときにやるせない気持ちが生じます。
おわりに
本日は作業療法の領域選びについて一意見を述べました。
ちまたでは「身体障害にいっとけば潰しが利く」「精神障害に行ってから身体障害にいくのは難しい」といった意見もありますが、そんなことはないと思っています。臨床とどう向き合うかは、自分のやる気次第です。また、将来起こり得る領域を変えた転職についても、自分のやる気次第だと思います。
ですので“自分が真摯に向き合える領域に行く”のが一番だと思います。
本日の結論は“好きなところに行ってください”です。自分がしっかりと向き合えると思う“好きな”がポイントです。
記事が少しでも役に立ちましたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
では、また。