【作業療法の歩み・人間作業モデル(MOHO)の特徴】「北海道作業療法士会50周年記念関連事業記念講演」に参加して

MOHO
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こんにちは、金平です。

本日は、8月3日に開催された 【北海道作業療法士会50周年記念関連事業「作業療法の歩み 私がみたアメリカ・日本・北海道」講師:山田孝先生】に参加した感想を述べます。

山田先生は、一般社団法人 日本人間作業モデル研究所の代表であり、人間作業モデルの研究や養成校の教員経験、院生指導等、作業療法の第一線でご活躍されている先生です。

そんな山田先生の講演を受講しましたので、印象に残った点を記録として残します。

山田先生が海外留学で感銘を受けたこと

山田先生は南カリフォルニア大学への留学経験で感銘を受けたこととして大きく3点挙げており、それはマリーライリーの作業行動、統合失調者に対する感覚統合、キールホフナーの人間作業モデルであったと述べられました。

特に、院の過程で一つ上の先輩であったキールホフナーとの繋がりが強く、その関係性が人間作業モデルを日本に広めるきっかけになったようです。

「感覚統合は帰国してから、エアースから感覚統合を学んだ佐藤剛先生に学びに行った。」と述べており、貪欲に勉強されたことが拝察される山田先生のエピソードがとても興味深かったです。

筆者の私を含め、現代に生きる私たちの中に、“海外に学びに行く”、“第一線で活躍している先生に直接学びに行く”といった貪欲な行動をとれる人はどのくらいいるのだろうか、と考えさせられました。

ほかに、作業療法のパラダイムの話をされており、作業療法がアメリカから日本に輸入されたときが機械論パラダイムであり、50年経った今でも要素還元主義的な作業療法がメインで行われている現状があることを危惧されていました。

わが国の作業療法の最大の変化

わが国の作業療法の最大の変化として、生活行為向上マネジメント(MTDLP)が開発されたことを挙げられていました。

PTの真似事をしているOTが多い現状で、OTらしさのアプローチを示すツールが開発されたことが良かった点であるとおっしゃっていました。

ただし、MTDLPには理論がないと指摘されることがあるとも述べられました。そこで、MTDLPの利用を支えるのにMOHOの理論が親和性が高く補完できると話されていました。

生活行為の目標を聞き取るMTDLPの活用に、OSAやAPCDといったMOHOの聞き取りツールの併用が有効であろうとのことでした。MOHOをきちんと学ぶことで、MTDLPのきちんとした報告にも結び付きそうです。

山田先生は、MTDLPについて2015年10月の協会誌で意見を述べられていましたので下記にリンクを張ります。

http://www.jaot.or.jp/kankobutsu/pdf/ot-news2015/2015-10.pdf

MOHOの7つの特徴

講演の中で、MOHOの7つの特徴をご提示していただきました。下記に箇条書きで示します。

1.多国籍的で多重文化的であること

MOHOは20以上の言語で利用できるため、多国籍で多重文化的であるとのことでした。実際に、アメリカで開発されたMOHOですが日本でも数多くの研究がなされています。

2.実践指向性

MOHOは臨床実践に必要な評価法や介入のプロトコール、プログラムなどを提供すると話されました。特に65歳大学のプログラム研究はアツい取り組みであると思いました。また、評価法も年々増えているため、MOHOがいかに実践で使われるように研究・アップデートされているかがわかります。

3.作業への焦点

MOHOは現代のモデルの中で、最初に作業への焦点を明確に表明したとされています。作業遂行と結びつきのカナダモデルやMTDLPなどでも作業への焦点が重視されているため、作業療法の専門性である“作業”を捉える重要性を考えさせられます。

4.クライエント中心の実践

MOHOは“クライエント中心”という考えが出現する前から“クライエント中心”を強調していた理論であると述べられていました。深く考えなくとも、作業への動機として人の興味や価値を重視する理論ですので“クライエント中心”がベースにあることがわかります。

5.全体論的(ホリステック)な実践

クライエントを理解するために統合的なアプローチをするものであると話されていました。MOHOは動機づけと遂行といった2つの現象に取り組むものであり、構成要素に分類するような実践ではないとされています。

6.証拠に基づく実践

MOHOは研究が積み重なっており、研究によって支えられている実践であると述べられていました。たしかに、国内においても、作業行動学会を主としながらも、あらゆる場面でMOHOの学術的な報告に出会うことが多いです。

7.他のモデルや理論を補完する実践

MOHOは機能障害に向けた焦点を補完できると話されていました。社会文化的・人間的なMOHOは、システム的・臓器的な生体力学や運動コントロールによるアプローチを補完し、包括的な支援を可能にできると理解でいます。

人間作業モデルへのいざない

さて、MOHOの7つの特徴を示しましたが、ブログを書いている途中で気づいたことがあります。この7つの特徴は、MOHO第5版の「第1章 人間作業モデルへのいざない」に詳しく掲載されていました。笑

詳細は、書籍でご確認ください。。。

おわりに

本日は、山田先生の記念講演を受講して印象に残った内容と感想を述べました。

これからの作業療法の学びを深める上では、MTDLPとMOHOは特に重要な作業療法の専門性であると感じました。

筆者の私自身はMOHOの初学者でありますが、MOHOを学ぶ上では下記が役に立っています。

  • MOHOの書籍
  • 日本人間作業モデル研究所主催の講習会
  • 実際に臨床で実践してみる

ご興味のある方は、MOHOの書籍購入や日本人間作業モデル研究所主催の講習会参加を検討してみてはいかがでしょうか。

一般社団法人日本人間作業モデル研究所(下記URL)

日本人間作業モデル研究所

最後までお読みいただきありがとうございました。

では、また。

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