【OBPって?】京極真先生講演:作業に根ざした実践

作業療法
この記事は約5分で読めます。

こんにちは、金平です。

この記事では、2019年7月20日に開催されたOBP×Recoveryの京極真先生による講演のまとめと感想を示します。
講師は、名探偵コナンに登場する「京極真」さんではなく、吉備国際大学教授の「京極真」先生であり、テーマは「OBP」でした。

セミナーは午前から午後にかけての長丁場でしたので、特に印象に残った点のみ示していきます。

なお、「OBPって何だろう?」の結論を先に述べると「作業療法そのもの」

セミナー中に「OBPって何?叫んで!」と京極先生に当てられましたので、この解答は忘れません(チキンなので叫ばずに「作業療法そのもの」とひっそりと答えましたが。笑)

OBPとは?

OBPはOTのコアな部分を現代化する

OBP=作業療法そのもの

OBPは作業科学で提案された概念であり、作業科学は作業行動をベースにしている。

作業行動は初期の作業療法の現代化であるから、OBPは元来の作業療法を現代化させる試みの一種といえる。

OBPは作業療法そのものであるから、作業療法士が存在し続けるためにはそれを実践するしかない。

現在の作業行動パラダイムでは、CCP(クライエント中心の実践)、EBP(エビデンスに根ざした実践)、CBP(文化に適応した実践)も重視されており、これらはOBP(作業に根ざした実践)を後押しする。

OBPとは?【おすすめ動画】

OBPについての詳細は、京極真先生のYouTubeチャンネルの下記動画が非常にわかりやすいです。

45分程度の長編動画ですが、作業療法士は必聴です!

OBPとは?【おすすめ論文】

寺岡睦先生と京極真先生の共著論文が大変わかりやすいです。作業機能障害と信念対立についても詳述されていますが、“はじめに”の部分を読むだけでも「OBP、なるほど!」とわかりやすい内容であると思います。

医学・医療の電子コンテンツ配信サービス
医書.jpは医学専門書籍・雑誌の幅広い医療情報を共通プラットフォームより配信します

なお、上記論文が掲載されている学術誌「作業療法」は日本作業療法士協会の協会員であれば無料で読むことができるので必読!

その方法は下記。

日本作業療法士協会ホームページ」→「会員向け情報」→サイドバー:Members Info内の「学術研究」→「学術データベース」→ログインIDとパスワード入力→「学術論文」→“作業に根ざした実践”と検索

33巻3号:2014年6月発行の論文として表示されます。

精神科におけるOBP

精神科OBPって難しい?

精神科OBPについてのイメージを参加者で話し合い、「精神科OBPが難しい」と感じる点についてディスカッションしました。挙がった主な内容は下記のとおり。

  • 個別性の尊重がときに困難
  • 集団(集団作業療法)ベースが難しい
  • クライエントが不健康な作業を求めている(タバコ、飲酒、夜更かしなどなど)
  • SDM(Shared-decision-making)が難しい
  • 家族を含めた方向性づけが難しい
  • 環境調整が難しい

作業療法のルーツをたどると精神科にいきつきますが、OTの歴史の歪みや制度上の問題等があり、OBPは困難さが伴いやすくなっているのが現状です。

精神科OBPの実情【おすすめ学会発表】

精神科OBPの実情について、全国学会での演題発表があるようです。

山下高介,京極真:精神科作業療法における作業に根ざした実践の介入戦略の質的解明.第53回日本作業療法学会,2019

301 Moved Permanently

(上記リンクに関して、2019年8月15日現在、まだ抄録集は掲載されていません。)

全国学会に参加する方は、ぜひ山下さんの演題を聴講しましょう。(私は残念ながら学会不参加です。。)

なお、セミナー内においても、山下さんが研究内容を説明してくださいました。

“作業療法士は、自らの専門性を加減しながら発揮していた”と報告してくださり、職場の現状や多職種連携に留意しながら、専門性の発揮を調整しているのが現状であるとのことでした。

精神科OBPは、職場や多職種連携の特徴を明確化しながら作業で評価・介入を“できるところからやっていく、できるところまでやっていく”ことが大切であろうと話されていました。

今後の精神科OBPの展望について、山下さんに質問していきたいですね!

感想とまとめ

感想

OBPときくと何やら難しい理論のようにもきこえますが、“作業療法そのもの”と捉えて良いと学びました。

身体・認知機能等への直接的アプローチといった医学的な作業療法も大事ですが、“作業”を大切にした評価・介入が作業療法の専門性であり、その専門性を発揮することが専門職として重要であると改めて考えることができました。

精神科OBPは制度上の問題等があり困難さが伴っている現状について考えました。職場や多職種と折りあいをつけながら、“できるところからやっていく、できるところまでやっていく”そして徐々にOBPを推進していくことが大切であると学びました。

まとめ

  • OBPとは作業療法そのもの
  • 精神科OBPは困難さが伴うができるところからやっていく、できるところまでやっていくことが大切

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

では、また。

 

宮崎先生がご教授してくださったPREセミナーの感想記事は下記へどうぞ(*’▽’)ノ

 

 

タイトルとURLをコピーしました