【OT学びフェス in 函館】“私らしさ”を支えるための高齢期作業療法

作業療法
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こんにちは、金平です。

この記事では、2019年8月25日に開催された“OT学びフェス in 函館”の村田和香先生による講演のまとめと感想を示します。
テーマは、「“私らしさ”を支えるための高齢期作業療法」であり、村田先生のお話を通して作業療法の効果や作業療法のあるべき姿について考えを深めることができました。

「高齢者に読んでもらいたい」

はじめに、ぜひぜひ“私らしさ”を支えるための高齢期作業療法10の戦略を読んでください!笑

いきなり書籍紹介でしたが、作業療法の知識・技術がとてもわかりやすく記された超良書です。

筆者個人の感覚としては、作業療法実践の理論人間作業モデルをベースにした作業療法の理論がわかりやすく解説されているように感じ、その上で村田先生の研究のエッセンスが凝集されている書籍であると思っています。作業療法の専門性に基づく理論と実践を堅苦しい文章少なく平易に学ぶことができます。

作業療法実践の理論人間作業モデルは下記の本ですね。ちょっとぶ厚めで読むのに根気が必要です。笑

村田先生は、講習の中で“私らしさ”を支えるための高齢期作業療法10の戦略を書いた裏話を紹介してくださいました。

それは、「高齢者(クライエント自身)に読んでもらいたい」とのことでした。

「もっと作業療法の手の内をみせても良いと思うんです。」「高齢者の手にとっていただきたい想いもあってわかりやすい文章で書いています。」と話されていましたので高齢者(クライエント)に読んでもらうことで、作業療法という良いものを伝達する、作業療法の姿を高齢者(クライエント)に示すことで上手く協業できる、といったことに繋がるのではないかと思いました。

高齢者(クライエント自身)が読んでいて、作業療法士が読んでいないわけにはいきません笑。筆者含め、世の作業療法士は熟読必須!

さて、そんな村田先生の書籍でしたが、元となった研究もご紹介してくださいました。下記リンクで村田先生の博士論文を拝読できます。

わが国における高齢障害者に対する作業療法 : 作業療法士の行動とその背景にある要因 : HUSCAP

10の戦略は作業療法の戦略

作業療法の10の戦略は書籍より引用し、下記のとおりです。

戦略1 クライエントの文脈を理解する

戦略2 ありのままを受け入れ尊重する

戦略3 作業が成功するように準備する

戦略4 作業中の状態を見て臨機応変に対処する

戦略5 クライエントの能力を評価してフィードバックする

戦略6 作業により良い習慣・生活リズムをつくる

戦略7 将来の生活も考慮する

戦略8 環境を落ち着いたものに調整する

戦略9 家族を受容し、支える

戦略10 スタッフと協業する

(村田和香:“私らしさ”を支えるための高齢期作業療法10の戦略.医学書院,2017.)

これらの戦略は、村田先生が周囲に確認してみたところ、「高齢期に限らず、身体障害・発達障害・精神障害の領域でも使われている戦略でした。」とおっしゃっていました。ですので、作業療法の戦略として、クライエントや多職種に堂々と示してよいものであると捉えることができます。

村田先生は、「数字ではない効果を示すためにも戦略が必要」と考えたことが研究への動機であったと述べられていました。

作業療法の効果は構成的評価等の数字で示せるものもありますが、それだけでは不十分です。村田先生が研究した戦略を意図的に用いて、あるいは自然と使いこなせるようになって、数字ではない効果を示していくことが必要であると考えられます。

作業療法の効果は、質的に・量的に両方の側面から示していくことが重要であると改めて学ぶことができました。

私らしさ 自分らしさ

村田先生は“私らしさ”、“自分らしさ”という用語を強調されていました。

類語には“その人らしさ”がありますが、「“自分らしさ(私らしさ)”という言葉がいい」とおっしゃっていました。

“その人らしさ”は他者が決めるようなニュアンスがありますが、“自分らしさ”は自分が決めるものです。

『〇〇さんらしいね』と他者に言われるよりも「自分らしい」と言えるかどうかが大切な視点ではないかと話されており、“自分らしさ”という用語を用いているとのことでした。質的研究者としての語彙の使い方に対する想いも感じ取れますね!

講演後の質問タイムで、筆者はまとまりない質問をしてしまいましたが、村田先生は意図を汲み取って応答してくださいました。

まとまりない質問は下記のような内容です。

『高齢者のよい生活とはどのようなものだと思いますか?忙しくするのがいい人もいれば、テレビをみてダラダラしてるのがいいっていう人もいるかと思います。村田先生が思う、“こんな生活が高齢者にとってよい生活ではないか”という考えがあれば教えてください。』(ブログに示すにあたって、多少まとまった質問に改変しています。笑)

それに対して、村田先生は単純明快に返答してくださいました。

「高齢者自身による“自分らしい生活をしてる”かどうかの“自分らしさ”の視点が大切だと思います。」

これをきいて筆者は、めちゃめちゃ腑に落ちました。

忙しくするのが自分らしいと感じる人もいれば、のんびりするのが自分らしいと感じる人もいる。退職したけれども別の役割を持って自分らしさを感じる人もいれば、もしかしたら自分らしさを見失っている人もいるかもしれない。

クライエントと関わるとき、“自分らしさ”を感じているかどうかを大切にしていきたいと強く思いました。

それとともに筆者自身が、いま自分らしく生活しているかどうかを日々振り返りたいなとも思いました。クライエントが自分らしい生活をしているかどうかを知るためにも、まずは作業療法士の自分自身が自分らしい生活をしているかどうかを考える。これがなかなか大事なことであると思いました。

おわりに

本記事では、村田先生講演のまとめと感想を示しました。(まとめと感想と言いながらも、文献紹介で終わってしまってる感もありますね汗。。。素人の筆者が長々と文章を書くよりも文献がとてもわかりやすいので、詳細はそちらでチェックをお願いします!)

講演では“村田先生ブシ”を感じる小ネタがいくつも散りばめられていました。筆者は村田先生にお会いするのが初でしたが、「もっと村田先生のお話をききたい!」と強く思いました。

今後どこかで村田先生の講演が開催されるようであれば、参加することを強くオススメします。本当に札幌から函館まで移動して参加した甲斐があった!!と感じました。

そして筆者の私は“自分らしさ”という言葉がとても好きになりました。多用していきます笑。

本を持参して、図々しくもサインをいただくこともできました(*’▽’)!

村田先生ありがとうございました。

 

記事を最後まで読んでくださりありがとうございました。

また、ブログを訪ねてくださると嬉しいです。

では、また。

 

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